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遠い昔に「保存」が生んだ概念

暮らしの道具にはいろいろある。

使っていくうちにカタチを変えるものもあれば、変わらないものもある。

我が家は、あきさんが陶芸をやっているので、

器に囲まれた暮らしをしている。

器は「食べること」に寄り添った道具だ。

話は遠い昔に遡るが、器の原点になったのは土器である。

今から1万年以上前の縄文時代に土器は作られた。

縄文時代は1万年も続いているから、いつ作られたかは

正確に分からないが・・・

そもそも1万年続く時代ってすごいな。

なぜ土器が作られたか?

それは、水を溜めるためだ。

人や動物も含めて生物が生きるためにまず必要なものは水だ。

湧水や雨水を溜めることは生きるために必要だった。

だから土器がいる。いわゆる水瓶というものだ。

それから、土器は食事を保存するための壺にもなった。

これがすごく画期的だった。

長く続く縄文時代の中で、最初はみんな定住せずに移住の生活をしていたそうだ。

なぜなら、獲物を求めて動くからだ。その時の自然の状況や気候の変化に合わせて移動する。

しかし、土器が作られるようになって、新しい概念が生まれた。

それが、「定住」だ。

土器を作るということは、「そこに食料を保存する」という意味を持つ。

食料を保存できることで移動せず、そこを拠点に動くことができる。

人類は器を作ることで、「定住する」という新しい生活様式をつくったのだ。

これは当時、すごいことだったと思う。

人類は、この「保存する」という習慣の中で様々な食べ物を

食すことができるようになったし、命を繋ぐことができたのだ。

土で作る陶器にはそんな昔の遠い記憶が残されているのかもしれない。

保存といえば、先日ゴーゴルライフストアで、あきさんのマグカップと同時に

キャニスターを販売した。

写真はアルミのキャニスターだ。このアルミがアンティークな感じで、

取手の木のつまみがワンポイントで可愛らしい。

僕たちは、これをコーヒー豆やお茶の葉を入れるキャニスターとして考えていたが、

先日、ライクサタデーのまみちゃんが「出汁パックを入れる容器として使いたい」と

言って購入してくれた。

そうか、出汁パック入れね。

我が家も茅乃舎(かやのや)のあごだしパックをよく使う。

冬になれば特に出汁パックは、鍋やふろふき大根に重宝する。

暮らしの道具は、自分たちが思ってもみないところで、

暮らしに合わせていろんな使い方としてカタチを変える。

この感じがすごくいい。

これは想像だが、最初は木の実か何かを保存するために作った土器の壺も

生活する中でいろんな形になっていったのだろう。

1万年後、まさかこんなにたくさん暮らしの道具があるなんて・・・

縄文人もびっくりだと思う。