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あれ?なんかまずいこと言ったかな?

今日はまず、感想から入ろう。

「かなり久しぶりに食べたけど、スープ、めっちゃうまいやん!」

そう心の中で感動させたくれた一杯がある。

一九(いっきゅう)ラーメン粕屋店のラーメンだ。

この店に来たのは、十数年ぶりになるだろう。

一九ラーメンは福岡市とその周辺に何店舗かある昭和から続くラーメン屋だ。

それぞれが一九の暖簾を分けて、それぞれが店を経営している。

一九ラーメンといえば、ワンタン麺。

福岡市南区老司にある一九ラーメンのワンタン麺は特に有名で、昼食時間になると連日並ぶほどだ。

今回、僕が食べたのは一九ラーメンの粕屋店だ。

ネット情報によると、一九ラーメンは親族経営だが、この粕屋店だけは親族ではない方が

経営しているらしい。大将も代が変わって表でラーメンを作っていたのは30代くらいの方だった。

・・・少しだけ並んで、店に入った。

店内はカウンターのみで、ぱっと見て10席ほど。

店主が中央でラーメンを作り、それをカウンターで囲む屋台的な店の造りだ。

一九と言えば、やっぱりワンタン麺かな?ラーメンかな?迷いながら注文。

「ラーメン、カタで」

カタとは硬めの麺のことで、福岡ではお決まりの注文セリフだ。

しかし僕の注文に対して、ラーメンを作っている大将が、「ラーメンね」と答えて、

なんとなくだが、一瞬、空気が変わった感じがした。

「あれ?なんかまずいこと言ったかな?」と思いながら、席に座った。

そして、店内の張り紙をよく見たら、【当店の麺はカタ麺のみとなります。

替え玉はありませんので、たくさん食べたい方は、大盛りをご注文ください。】

と書いてあった。あー、そういうことね。

このお店は、麺の硬さを選べない。

一般的な福岡の豚骨ラーメン店は、やわ、普通、カタ、バリカタなど麺の硬さを選べるが、

一九ラーメン粕屋店は、カタ麺一択である。

そのこだわりの感じが今時、逆に良い。多様性を無視したその感じ。

多様性、多様性って、世の中は選ばせすぎなんだよ。

カタ麺、一択のラーメン屋があってもいいじゃないか。

それも多様性の中の個性だ。そう言わんばかりに。

昭和を感じた。

まぁ確かに10席ほどの店の回転率を上げるなら、カタ麺の方が茹で時間も短縮できて効率的だ。

しかも福岡はカタ麺文化。これまでお客の8割以上がカタ麺注文していたとすれば、

カタ麺一択にした方がお店もやりやすい。結果、カタ麺一択になったのだろう。

コロナ禍で飲食店はすごい打撃を受けた。

生き残るためにシステムを変えて乗り越えたのかもしれない。

と僕の推測はそのくらいにして、

通常、福岡のラーメン店だと「すみません、ラーメンカタで」になるが、

このお店は「ラーメン」と一言いえばいい。

僕はそれを知らずに「すみません、ラーメン、カタで。」と言ってしまった。

カタを注文して、なんとなく恥ずかしいような、

気まずいような感じがしながら待っていたら、すぐにラーメンが出てきた。

スープを飲んだら、うまい!すごくうまい!

というか、自分好みのスープだ。こってりではなく、濃い深みのある味。

少し甘みがあって飲みやすい。とにかく僕の好みの真ん中にあるラーメンだ。

あー、大盛りにすればよかった。と少し後悔した。

食べ終わって、すぐにまた来ようと思った。

福岡といえば、豚骨ラーメンだが、豚骨にも色々ある。

正直言って、好みじゃない豚骨もある。

豚骨でも好みが分かれるから、人に勧める時は意外と難しい。

勧めるこっちも相手の好みを色々考えてしまうからだ。

そのあたりの豚骨ラーメン話は長くなるから、また後日にしよう。

味の好みも年齢によって変わるが、

まぁ、とにかく一九ラーメン粕屋店は、今の自分好みのラーメンだった。

ごちそうさまでした。ありがとう。

やっぱ昭和のラーメン、好きだなぁ。