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丸いもてなしの原点

九州は関西のように、身近にたこ焼きを食べられるお店が少ない。

商業施設のフードコードに時々あるが数えられるほどだ。

僕が少年の頃は、八ちゃん堂という小さなたこ焼き屋があった。

商店街や商業施設の中ではなく、道路に面した通り沿いにあるお店だ。

道路に面しているお店だから、目立つためか、お店は黄色だった。

八ちゃん堂も以前はよく見かけたが、最近はほとんど見かけない。

たこ焼きといえば、思い出がある。

初めてたこ焼きを食べた時の記憶はないが、初めてたこ焼きを作った記憶はある。

中学1年生の時だ。

家庭科の授業で、料理を作るという課題があった。

僕たちの班は、たこ焼きを作ることにした。

どうやって作るかさっぱり分からない。だから、授業で実際に作る前に

友達のコウジの家に集まって練習した。コウジのお母さんはもともと関西に住んでいた。

コウジの家で夕ご飯をご馳走になる時に、たこ焼きやお好み焼きが出てきて、それがすごく美味かった。

いかに丸くできるか、ひっくり返す練習を何個もした。

そうして、授業当日。練習の成果が出た。たこ焼き作りは、とてもうまくいった。

先生たちに振る舞ったら、「うまい。うまい。」と喜んでくれた。

友達に配ったら、「うまい。うまい。」と集まってきた。

お裾分けが1 個じゃ足りないやつらは、「もっとたこ焼きが欲しい。」と皿洗いを手伝うやつまで出てきた。

僕たちは、思う存分たこ焼きをお腹いっぱいに食べた。

気持ちもお腹も大満足だった。思えば、人に料理をもてなす喜びをそこで学んだ気がする。

うまいものは、みんなが喜んでくれると実感した日だった。

たこ焼きは、僕のもてなし精神の原点だ。

ちなみに、あきさんの子どもの頃の夢は、「たこ焼きをお腹いっぱい食べること」だったらしい。

大人になって好きなだけ食べられるようになったから夢は叶ったようだ。

我が家は時々、たこ焼きを作る。

こんな話を書いていたら、たこ焼きが食べたくなった。

近々、たこ焼きにしよう。