お知らせ
「心地よい驚き」を追求する。
もうすっかり夏です。
35度を超えるのは当たり前。
場所によっては40度を超える日もあります。
打ち水やクールビズ。
「室内温度は27度まで」と言っていた頃が、懐かしく感じます。
先日、このコラムで、僕たちが運営する古民家施設「こみんかみかん」を紹介しました。
今日は、その場所で提供している料理について書こうと思います。
実は、僕たちは飲食のプロではありません。
僕は大学時代にファミレスで4年間アルバイトをし、20代半ばに料理人とラーメン店をそれぞれ半年ほど経験したくらい。
妻のあきさんも、学生時代にハンバーガー店やステーキ店で働いていました。
スタッフの樹里さんは販売経験が豊富ですが、飲食は未経験。
デザイナーのコバは鮮魚店でアルバイトをしていました。
そんなメンバーで、本当に飲食店なんてできるのだろうか。
スタッフは少し不安そうでした。
でも、不思議なくらい僕は不安がありませんでした。
どんな料理を作るのか。
どんな場所にしたいのか。
どんな人たちが訪れるのか。
その景色は、はっきり見えていたからです。
そして何より、20年近く、あきさんが家で作り続けてきた料理の延長線上に、
こみんかみかんがあると思っていました。
その考え方の軸になっているのが、土井善晴先生の料理への考え方であり、僕たちが作ってきた柚子胡椒「YUZUGO」です。
こみんかみかんは、ただの飲食店ではありません。
築126年の古民家であり、
地域の交流拠点であり、
立花山を訪れる人たちの休憩場所でもあります。
だから、目指す料理も少し違います。
福岡市内の飲食激戦区で勝負するような料理ではありません。
僕たちが作りたいのは、日常の延長にある料理です。
どこにでもありそうなのに、
どこか違う。
「これ、家でもやってみたい。」
「なんだか沁みるね。」
そんな言葉が自然と出てくる料理です。
僕たちが大切にしている言葉が二つあります。
「日常に、心地よい驚きを。」
そして、
「しみじみ美味しい。」
どちらも、YUZUGOを作りながら見つけた言葉でした。
料理も同じです。
驚かせるための料理ではなく、
食べ終わったあとに、もう一度思い出したくなる料理。
派手な変化球は投げません。
素材の味を丁寧に引き出し、
ほんの少しだけ、家では出せないひと工夫を加える。
その小さな違いが、「心地よい驚き」になればいいと思っています。
例えば、唐揚げです。
ありがたいことに、
「今まで食べた唐揚げで一番美味しかった。」
そんな言葉をいただくことが結構あります。
オープン前、スタッフ4人で何度も試作を繰り返しました。

こだわったのは、「後味」です。
若い頃は、パンチのある味が好きでした。
でも今は、食べ終わったあとまで美味しいと思える料理に惹かれます。
こみんみかんがある立花口地区には、ご高齢の方もたくさん暮らしています。
だからこそ、誰が食べてもやさしく、美味しいと思える唐揚げにしたかった。
生姜やニンニクを強く効かせるのではなく、
肉の下処理を丁寧にして、素材そのものの旨みを引き出す。
そんな作り方を選びました。
結果として、冷めても衣はサクサク。
それは狙って生まれたものではありませんでしたが、理想以上の唐揚げになりました。
唐揚げは、どこにでもあります。
だからこそ、その一口に、「何か違う」を込めたい。
心地よい驚きと、
しみじみ美味しい。
それが、こみんかみかんの料理のテーマです。
今は、夏限定で「こみんかカレー」をお出ししています。
これもまた、古民家らしい一皿になりました。
その話は、また次回。
